電解研磨液の問題は軽視されがちです
電解研磨液の問題とはどの様な問題なのでしょうか。
通常、電解研磨は製品を電解研磨液に浸漬して行います。この時、製品に隙間がある場合、その隙間に電解研磨液が浸み込み、様々な問題を起こすことをいいます。
電解研磨をした製品の隙間に残った電解研磨液は、腐食や製品性能の低下、商品価値の喪失等の原因となることがあります。取り返しのつかないことになる場合がありますので注意してください。
まず知っていただきたいことは、隙間に入り込んだ電解研磨液を完全に除去する事はできないということです。一度隙間に入った電解研磨液は、どんな洗浄をしても完全に除去することはできません。電解研磨液はどんな隙間にも滲入していきますので、強く密着させたとしても事態を悪化させるだけであることが多いです。
隙間に入り込んだ電解研磨液は、電解研磨直後には問題無さそうに見えても、数ヶ月くらいしてから問題となることがほとんどです。店頭に展示していて、あるいは在庫として保管していて出荷の時に異常が発見されるという形で発覚します。この状態になってしまうと、それへの対応で多額の費用、労力の支出を強いられることになりかねません。
【隙間構造の例】
(1)部品の重なりによる隙間のモデル
実際の例
(2)ロストワックスの巣のモデル
ロストワックスの巣は見た目で分かるものから、分からないものまで様々です。見た目で分からない場合でも、乾燥後に濡れたように見えることから巣の存在を推定できます。
【隙間以外で問題となる例】
(3)角パイプ使用製品モデル
①の部分は溶接していないため、そこから電解研磨液がパイプ内に入る。
②は溶接部。
(4)二重構造モデル
二重構造の製品は構造によりますが、電解研磨液が中に入ると、取り出しにくくなるものが多く、そのままでは電解研磨できません。
電解研磨液対策を考慮して製造されている製品は、一部の例外を除いてほとんどありません。
弊社に持ち込まれた時点では製造されてしまっており、明らかに電解研磨できないものを除けば、実際に処理をして判断するしかないというのが実状です。また、他の電解研磨業者が処理し、電解研磨液の問題が発生した製品を、なんとかならないかと持ち込まれて当社で問題解決する例もあります。
当社は、電解研磨では60年の歴史があり、電解研磨液を取り出す技術やノウハウを多数所有しています。
電解研磨液の問題をどうしても回避したいという場合には隙間を溶接などで完全に塞ぐ以外方法はありません。しかし、それが何らかの理由でできない場合でも、弊社の技術やノウハウで回避できる可能性は多くありますのでご相談ください。