化学研磨処理と適性

化学研磨

化学研磨は、電気を使わず化学研磨薬品に浸漬することにより金属表面を溶かして研磨する処理です。電解研磨と同様に表面は溶解されることでクリーンな状態となり、平滑化され光沢が出ます。

電解研磨か?化学研磨か?

手で掴むことが難しいくらいの小さな細かい部品に限定して考えると、電解研磨よりも化学研磨の方が有利なことが多くあります。精密部品等で、特に金属表面の高度な清浄度が求められる場合です。

電解研磨では個々のワークに確実に電気を流す必要があり、ワークに電気を流すための接点がどうしても必要となってきます。そのため、電流の大きさによりますが、接点個所に新たなバリが発生したり、元の表面が残るなどの不具合が発生する可能性があります。
通常の電解研磨では、これらはほとんど問題にはなりませんが、高い清浄度、コンタミネーションコントロールが強く求められるケースにおいては問題となることがあります。
化学研磨は、電気を使わず「薬品による処理」であるために、上記のような問題が発生することはありませんが、耐食性の向上という点では電解研磨より劣ることが多いです。耐食性については注意する必要がありますが、化学研磨後に不働態化処理を行うことで耐食性を向上させることができます。
化学研磨のもう一つの利点は、電解研磨より、重量、厚みなどの変化量のコントロールが容易な点にあります。例えば、厚みの変化量を±0,003mm以下にコントロールできないかというような要望にこたえることができます。

中野科学の「化学研磨」は厚みの変化量を目標値の±0.003mmでコントロール可能です。

研磨比較表

    電解研磨 化学研磨 物理研磨
ワークの大きさ 大きい(1m以上) ×
小さい(10mm以下) ×
形状 単純
複雑 ×
大量に処理できるか 量産性
不純物が残留しないか 研磨面の清浄度 ×
加工変質層が発生しないか   ×
耐食性が高いか   ×
寸法変化のコントロール   ×

◎とても得意 / ○得意 / △やや得意 / ×不得意

電解研磨 ステンレス オーステナイト系(SUS304、SUS316 等)
フェライト系(SUS430 等)
マルテンサイト系(SUS410、SUS420 等) ※
二相系(SUS329 等)
析出硬化系(SUS630 等) ※
※熱処理の状態によって仕上がりが異なります。
アルミニウム 純アルミ系(A1050、A1085 等)
Al-Mg系(A5052 等)
Al-Mg-Si系(A6031 等)
その他アルミニウム(展伸材、ADC材各種)はお問い合わせください。
チタン 純チタン、チタン合金
ニッケル 純ニッケル、ニッケル合金
その他 その他鋼種はお問い合わせください。
化学研磨 ステンレス オーステナイト系(SUS304、SUS316 等)
フェライト系(SUS430 等)
マルテンサイト系(SUS410、SUS420 等) ※
二相系(SUS329 等)
析出硬化系(SUS630 等) ※
※熱処理の状態によって仕上がりが異なります。
アルミニウム 純アルミ系(A1050、A1085 等)
Al-Mg系(A5052 等)
Al-Mg-Si系(A6061 等)
その他アルミニウム(展伸材、ADC材各種)はお問い合わせください。
チタン 純チタン、チタン合金
ニッケル 純ニッケル、ニッケル合金
銅、銅合金
その他 その他鋼種はお問い合わせください。